10月月例経営研究会より、業務改善とICT化推進について

業務改善とICT化の推進は、会員様に限らず多くの企業で重要な経営課題となっています。

10月の月例経営研究会では、どうしてもツールや手法の話に偏りがちな話ではなく、

業務改善を推進し成果に導くためのポイントを研究いたしました。

 

〇塾長基調講演

日本列島ではここ最近立て続けに台風災害を受け甚大な被害が出ましたが、気候も変わり、様々な災害が現実となる中で、事業継続計画(BCP)を整備する必要性について改めて解説。

そのうえで業務改善を進めるポイントを指摘しました。業務改善には終わりはありません。時代が変わればそれに合わせ業務は変化します。特に最近は時流の変化が激しく、経営者リーダーが率先し変革に努めるべき点、ベクトルを合一させることの必要性、そして業務改善を継続し進めていかねばならない点が強調されていました。

 

〇㈱新和建設藤井徹様講演

今回は、特別ゲストとして業務のシステム化、そしてICT化の推進に関し住宅業界で先頭を切っておられる㈱新和建設様の常務取締役藤井徹様をお招きし、新和建設様の実践から積み上げてこられた業務システムの根幹にある考え方を中心に解説いただきました。

重要な点は沢山ありましたが、そのうち何点かご紹介いたします。

 

第四次産業革命、CASE、ブロックチェーン、5G、マーケティング4.0・・・

ニュースや新聞でもよく出てくるキーワードで聴いたことはあると思いますが、どういう内容かご存知でしょうか。

お話しいただいたポイントの一つは、情報を押さえることであり、時流を押さえ自社の置かれている状況やなぜ自社が業務改善を行うべきかを理解し、ベクトルを合わせることです。

 

 

働き方改革を推進しないと淘汰されてしまう理由、中小企業への逆風となる動きがあり、自社そして自分の身に降りかかっている火の粉であることを知ることで、危機感が共有され、本気に改善を進めていく土壌ともなります。新和建設様では、部門長教育の中で最近の話題や時流についての解説も積極的に行っておられ、今回その内容を実際にご紹介いただきました。

 

さらに、組織であること、そして仕組み(システム)を作る意味とその作り方の基本的な考え方についてお話しいただきました。組織とは、二人以上の作業の分業化の仕組みであり、仕組みとはだれがやっても同じ結果になること。これを個々人に完遂させるためには、「ガイドブック」すなわち職務遂行のために必要な作業をフローで示すことが必要であるとともに、「マニュアル」すなわち上記作業を遂行するために必要な「動作」を示すことが絶対条件になります。特に、新和建設様では両者が徹底的に吟味され常に見直しがなされ、マニュアルもすべてが最新に整備され閲覧が可能な状態になっています。

 

また、マネジメントを継続できるようにするための基軸となる①Specialization(スぺシャリゼイション差別化・特殊化)②Standardization(スタンダリゼイション標準化)③Simplification(シンプリフィケイション単純化)の3S主義の考え方をご紹介いただきました。これは経験や能力が高くなくとも、同じように完遂できる仕組みを構築することで、このマネジメント状態を築くこと自体が会社の「独自」の強みとなり、競争力を生むこと。そのために当たり前を100%できる状態を作ることが極めて大切であり、これがシステム化・標準化をする上でベースとなる考え方になります。単純化・標準化された業務手順を構築できれば、それをICT化することは結果として簡単で費用も安く済みます。複雑で例外も多い業務であるほどICT化は費用も高まります。

 

これらの考え方の背景があり、新和建設様では業務が極めてシンプルに標準化され、仕組みが有機的に機能しておられます。システムの利用ですべての仕事を楽にする。これが結果として働き方改革の追求そして企業価値の向上につながっていることを理解することができました。

 

今回は、本紙面では紹介しきれないほど、これ以外にも経営に直結する様々なお話しをいただくことができ、ご参加いただいた方にとっては大変有意義な場になりました。

 

〇事例発表

今回は、短い時間でしたが橋本興産㈱様、そして㈱波多野工務店様に現在の業務改善&ICT化推進状況についてご報告いただきました。橋本興産㈱様からは、今年にかけて急ピッチで行ったICT化の推進について、各分野別の仕様ツールと導入状況一覧に基づきご発表いただき、㈱波多野工務店様からは、昨年より導入されたMA(マーケティングオートション)の導入とそれによる顧客創造戦略についてお話しいただきました。

 

〇まとめ

特に今年は業務改善&ICT化推進の波が押し寄せ、各社様においても試行錯誤を繰り広げながら様々なシステムの導入そして改善が行われてきました。業務改善は一度行って終わりでなく、課題の抽出から改善の繰り返しで日々進化させていく必要があります。また、最近は進化が早く、新しいものもすぐに更新され変化していきます。

 

経営者がリーダーシップをとりながら、情報のアンテナを張り、社員が改善をうまく進められるように環境整備をすることがとても重要です。色々な課題もあると思いますが、業務改善とICT化の推進にぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。