設計担当者は、
暮らしも性能も理解したプロ。
建築基準法に書かれていることではなく、
健康快適に過ごす、それ以外の住む・暮らす、
ということをマスターした専門家です。
さらに、お客様の暮らしだけでなく、
街並みに映えるかという面にも配慮しなければなりません。
そう考えると設計は、
洞察力、そして幅広い知識、さらに敷地を読む、空間を創造する、
どうしたら幸せに暮らせるかを創り上げる、
価値のある重要な業務であることは言うまでもありません。
今回は特に、設計デザインを高めるための「人材育成」を考える研究会となりました。
〇 富裕層対策と設計力
前半では、各社様発表とともに、
最近富裕層向けモデルをオープンさせた
健康住宅の吉本常務にも新しいモデルの展開についてご発表いただきました。
新モデルでは、「NEW YORK STYLE」と銘打ち、
ライフスタイルにこだわり、
キッチンを中心に家具造作に至るまで作りこんだデザインを魅せることで、
予算5000万円を超える意識の高い人が来場するようになりました。
それに伴い今までにない客層に対する対応も変わる必要があります。
特に、富裕層は空間の在り方に対する考え方が違う
という前提を理解しておく必要があります。
限られた諸条件の中で盛り込むポイントを絞りいかに工夫するか、
ではなく、
資金をアップさせてでも
高い価値観を満たす提案をすることが求められます。
これができるには、
やはり設計士の「感性」が問われます。
建物についても道路からの見え方、
窓の配置や大きさ、
軒の深さや陰影、
外観や屋根形状、
細部に至るまで考え抜くことが重要となります。
細かいところに気づくか気づかないかが
富裕層に満足いただける設計力の鍵になります。
これができるようになるためには、
何よりまず学ぶこと、
そして色々なものに興味を持つことで引き出しを増やし続けなければなりません。
〇 設計デザイン力を高めるコミュニケーション
続いて、住宅産業塾設計コンサルタントの渡邊章亙先生に
各社施工事例から見た「デザインポリシー」の分析も交えながら、
設計デザインの質を上げる方法についてアドバスをいただきました。
渡邊先生は、会社のデザイン力を高める方法として、
① 設計者同士で競争をする機会を設ける
② 社外の設計者や建築家と触れ合う、競争する
③ 常に仕事の中でデザインレビューを行う
ことを推奨しておられます。
①は勉強会や社内研修等
②はコンペや外部講師の招へい等
そして、③については、
日ごろ行っている会議の中でデザインについて議論する場を設けるだけでも良く、
他部門(営業や工事担当者)も同じレベルで意見を話し合うことが大切で、
第三者の意見を取り入れることが良く、
日常的にできる範囲で継続することが重要といわれました。
担当者だけでなく、
第三者の意見を交えコミュニケーションをすることが、
設計デザイン力を向上させるポイントになるということです。
また今回は、
渡辺先生に各社のHPの施工事例から読み取れる
デザインポリシーの分析とアドバイスもしていただきましたが、
初期の顧客の接触点であるHP(特に施工事例)に掲載する情報は、
その会社の設計デザイン力を見るうえで一番にわかりやすいものであり、
見栄えのある外観・内観の写真の準備が絶対条件であるという指摘は
参加各社様にとっても参考になったのではないでしょうか。
設計デザイン力を高めることは、
結果として自社ブランド力を確立する、
ということでもあります。
そう考えると、設計担当者の育成は最重要の経営課題であり、
対策が急務と言えるでしょう。
設計担当者と社内外とのコミュニケーションを積極的に、
設計デザイン力の向上に努めてください。