今回から読者の方に役立つよう魂を込めて連載記事を執筆します。
消費税増税が延期されることになりましたが、これで住宅環境が良くなるということはありません。
徐々に減少していく傾向は変わりません。今問われるのは顧客の創造力です。
1968年、昭和43年に年間住宅着工戸数が100万戸を上回って以降、ずっとバブルの状態が続いていました。
現在悪いといっても約90万戸あるわけですから大変な好景気です。
そのため住宅業界は顧客があるものだという前提で、すべてが仕組まれていました。
顧客を創造するという概念ではなく、存在する顧客をどう探すかというのが大テーマでした。
今、住宅業界で行われているのは探客や集客法です。
住宅会社が、イベントなどで集客して、刈り取る典型的なスタイルの待ちの営業手法です。
新築でも、建替でも、リノベでも、すべて顧客がいて、来場してくれているのです。
これが来なくなったら、どうなるのか背筋が寒くなります。
未来の傾向を知り、早くから待ちの営業スタイルから脱却して、工務店としての本道を歩む営業スタイルを構築されている会社もあります。
顧客と地域を大切にして、つながるためのいろいろな施策を展開されています。
紹介や、現場を見て、評判口コミによる受注があることや、価値を共有するshare活動に力を入れ、シンパ客によるネットワークの関係が構築できている会社もあります。
待ちの営業スタイルでは完全に将来に不安があります。
今これから求められることは少なくなっていく顧客をどう創造するかです。
顧客を創造するために攻めていくことが必要です。
企業が繁栄し続けられるための利益の源泉は顧客の創造につきます。
顧客の創造のために、まずは自社の顧客は誰か?
その客の求める価値は何か?を知ることです。
自社の住まいづくりコンセプトにあう顧客になっているか?
攻めるターゲットがコンセプト・商品にあわなければ顧客の発見も育成もできません。
まず顧客を知ることです。
顧客と、顧客の価値がわかれば、
①他社よりも優れた価値を提供し、顧客を満足させること。
CS(顧客満足)→CD(顧客の感動)→CT(顧客の信頼)を実現することです。
契約してくださるお客様を感動させることが絶対条件です。この顧客によるシンパ客による縁ネットワークを構築することです。
紹介や口コミなどで全体の70%の受注をしたいものです。
②そのための企業の基本機能はイノベーションとマーケティングの二つです。
それ以外はコストであると認識することです。
イノベーションは、消費者の嗜好や技術が変化し続ける時代への対応(商品やサービスの進化・向上)で、
マーケティングとは、新たな価値を生み出した製品を顧客に伝える手法の大切さのことです。
イノベーションでは商品力や設計力を磨くことが大切です。そしてサービスや対応力を強化することです。
必ずCD・CTにつなげることです。顧客の不満で新しい見込み顧客を失わないことです。
顧客が安心納得される対応をする必要があります。どんな良い商品やサービスができても、新しい顧客に伝えることができなければ受注することができません。
特にこだわりがある商品やサービスは、伝えることができなければ、新しい顧客との出会いも実現しません。
セールスではなくマーケティングが大切なのです。
工務店はこのマーケティングが実に弱いものです。強化が急務です。
2016年は「受注、受注、受注そして受注残の確保!」がテーマです。
そのためには全業務を見直し、顧客の創造に注力してもらいたいものです。
(2016年6月25日 日本住宅新聞掲載)