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お客様と現場が基盤①

地場工務店のことを一番よく知り応援してくださるのは入居された顧客です。

その顧客と、その現場をあまり大切にしないのが工務店ときたら、シャレにもなりません。工務店の原点は、お客様と現場にあります。

 

工務店・ビルダー・ハウスメーカーの企業力比較表を見てください。

メーカーでも頼りない企業があり、工務店でもしっかりして順調なところもありますが、一般的には表のとおりです。

住宅会社には商品・営業・人材・資本・情報・システム・技術・技能・経営などによる企業力がありますが、工務店にはほとんどがありません。

あるのは職人による技能と、入居された顧客しかないのがわかります。

その工務店が顧客と現場を大切にしないと存在基盤がなくなります。

ないない尽くしの「こなしの工務店」が存在しえたのは、住宅業界が全くバブル状態にあったからです。


汚い現場でも受注があり、契約が続々と続いたのは、まさしくマーケットが良かったからです。

価格が安いので売れたということもありますが、日本中の住宅会社の現場が汚く、工務店の現場も汚くても何とかなったからです。

 

この「こなしの工務店」が需要減少状態になれば、とても対応できないことになり衰退していくのが目に見えています。

 

「現場がすべて」にもかかわらず、汚い状態の工務店には未来に不安が残ります。

工務店には大宣伝できる資本はありません。

工務店にとってPRできる最大の場が現場です。

現場は顧客発見の場であり、商談展開の場であり、クロージングの場でもあります。

その現場が汚いということはとんでもないことです。

 

現場は、新品の材料をプロの職人が施工するわけで、汚すということがあってはならないことで、この現場が活用できなければ自殺行為になります。

商談展開の時には現場案内などを実施しますが、現場が汚くては案内もできません。

よく言われる「現場は展示場」という言葉がありますが、まったくそのようになっていないのが現状です。


最近多くの住宅会社が現場をきれいにすることに取り組んでいるようです。

「日本一きれいな現場」「県内No1」など、それぞれ独自に訴えていますが、実際には表明と現実が違います。

経営者が「現場をきれいにする」といっても、社員や職人がその意味を理解していないと掛け声だけで終わってしまいます。

現場の標語には「現場きれい日本一宣言」とありながら、現場は非常に汚いという事例も多々あります。

 

なぜ現場をきれいにするのか、その理由を全く分かっていなかったり、きれいにすることを義務感でおこなっていたり、本来の目的・目標はどこにあるのか不明で、言葉だけで現場まで意思が統一されていないことによるものです。

末端の現場関係者に伝わっていないと、また現場関係者がこれを納得しない限り、一時的にきれいになったとしても長続きしません。

ほとんどの会社はこのような問題に直面していることでしょう。

 

また施工中に現場近隣の方への配慮も大切です。

音やほこりや車などで迷惑をかけていることが多くあります。

この近隣の方への配慮がなければ、未来の見込み客が期待できません。

迷惑をかけているという自覚が必要で、それに対する感謝の気持ちで、道路清掃や、マナーなどに気をつけることです。

 

「現場きれい」を徹底していくには、現場に携わる方々の意識改革がとても重要になります。なぜきれいにしなければならないか、その理由と意義を明確にし、訴え続けねばなりません。

経営者と社員が一体になり、営業・設計・工事が一体になり、会社と職人が一体にならなければ真の現場きれいはできません。

現場きれいは全社運動です。

 

 

現場をきれいにする方法はまた詳しく述べていきます。

 

(2016年7月25日 日本住宅新聞掲載)

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