地場工務店のことを一番よく知り応援してくださるのは入居されたお客様です。
そのお客様と、その現場を大切にしないと存在基盤がありません。
住宅ビジネスはお客様の感動を実現するビジネスなのですが、多くの工務店が自社のお客様の特性をよく知らず、お客様からも信頼されていないのが実情です。お客様の特性を知らずしてビジネスは難しく、企業の発展はありません。お客様の職業・職種、年収、年齢、家族の人数、ライフスタイル特性、建てられた住宅の種類(構造・デザイン)、購入価格、建築面積、選択決定動機、住宅へのこだわり、お客様の新築の動機やそのときの状況などは絶対に把握しておかねばなりません。
また、購入されたお客様の満足度も把握しておく必要があります。
自社の商品や供給ビジネス体系が地場のお客様とフィット(合致)しているかどうかについても、よく神経を使って確認する必要があります。
お客様の満足度が低く、「とてもではないが紹介はできない」といわれたら、以降その地域エリアでは商売が困難になってきます。
そのためにも自社の商品やビジネス体系の改善をし続けねばなりませんが、この改善テーマを教えてくださるのが自社のお客様なのです。
地場の工務店として生き残り、勝ち残るためには地域エリアの特性をよく知り、お客様の特性をよく理解して、提供すべき商品やビジネス体系を磨き続けること。それによりお客様満足が実現でき感動を与え続けられることが重要です。
その継続が地場での「らしさ」(特長)になり、地域でなくてはならぬ存在になるのです。
奇手奇策はなく、工務店はお客様と現場を大切に感動実現に努力することが大切です。
工務店はあまり広告宣伝ができません。
どう普及活動をするか?
それは簡単なことで、現場をきれいにし、お客様を感動させれば良いのです。
お客様が大変喜ばれ、お客様の予期せぬことや期待以上でなければ、この感動を実現することはできません。
これは企業側の誠意と努力の賜物です。
この感動があるからこそ信頼をされ、信頼があるからこそ紹介もされるようになります。
この会社なら、この担当者なら任せても大丈夫だとして安心して紹介されるのです。
お客様が口コミで新しい見込み客を紹介してくださるのです。
それも確実で競合のない有望見込み客です。
紹介制度があるから紹介されるのではありません。
満足(CS)し感動(CD)され、信頼(CT)されるからこそ紹介されるのです。
このことを決して忘れてはなりません。
日本中で元気な工務店・ビルダーを見ればOB客であるホームオーナー様による紹介が多いのがわかるように、紹介による営業が一番効率的なのです。
ホームオーナー様は有望度の高い見込み客の発見で一番力を発揮するのであり、また入居宅案内でもクロージングの支援でも絶大な力を発揮します。
ホームオーナー様のご案内の時に強力に推薦していただけるのです。
これがお客様を営業マンに、営業支援者にするということです。
こんなすごい戦力になるお客様を大切にしないなんて、愚かなことだとしか言いようがありません。
信頼づくり、応援者づくり、シンパづくり、これをせずして工務店の未来はないと断言できます。
お客様を大切にし、現場に心をこめて対応するならば、お客様は地場工務店を評価してくださいます。
評価者はお客様であることを肝に銘じて忘れないでほしいし、地場工務店はまずこれを徹底してほしいものです。
一方でお客様の変化や時代の流れをしっかり把握し対応することが不可欠です。
地場工務店はどのターゲット・内容に焦点を当てるのか、また何をしたいのか真剣に追求・対応し、「らしさ」特長づくりに邁進する必要に迫られています。
(2016年8月25日 日本住宅新聞掲載)