1、お客様の決断と決めワザを知る
変化する時代に工務店が取り組むべきテーマはたくさんあります。
しかし厳しい競争と変化の環境を考えると、何よりも一番大切なことは地場の工務店としての
「らしさ」を確立することです。
お客様が企業選択の決断を下される要素は、「商品が気に入ったとき」、「土地・建物のセッ
トでうまくいったとき」、「資金計画通りの提案があったとき」、「お客様の信頼獲得である
一生懸命さがわかったとき、対応力が良いとき」と「お客様の期待を超えた感動のプレゼン提
案があったとき」「信頼する友人(HO様)からの一言があったとき」などです。
そのため、その決めワザをしっかり構築しなければなりません。
決断されないことや売れないということは現在の商品や売り方、売りの仕組みのどこかに問題
があることを示しています。
そのわるさの原因を早く発見し、すばやく解決を図り、成果が出るようにすることが大切で
す。
2、特長ある「らしさ」を強化すること
お客様から選択・評価されるには、①他社になく、自社にしかないもの、②他社にもあるが、
自社のほうが群を抜いて優れているもの、そして③お客様が評価されるものを構築することで
す。特にお客様に選択・評価されることが絶対条件です。今、順調な工務店は全部といってい
いほどその「らしさ」があります。
地場の工務店がお客様に選んでもらうためには、提供する住宅(商品)そのものの特色や、そ
の家づくりの過程・対応での特長があり、「らしさ」がある必要があります。日本中で元気な
工務店は確実にこの差別化があり、競争優位性があります。
高断熱・高気密の性能住宅で人気をはくす工務店や、自然素材のエコロジー住宅で喜ばれる工
務店や、洋風住宅のデザインセンスがよく順調な工務店や、新和風のデザインが優れていて受
注が好調の工務店や、こだわりコンセプト住宅で大好評の工務店などがあります。
年間30~50棟で競合なし、値引きなしで抜群の好業績をあげている工務店もあります。
また施工の良さや、現場がきれい(魅せる現場)で評判がよく、堅実に頑張っている工務店も
あります。
工務店にはいわゆる宣伝力はありません。
地場の人々に大金をかけて宣伝するわけにはいきません。
工務店の基本の営業は口コミ・人コミです。
そのためにもお客様が感動される住宅商品づくりとその対応が大切です。
魅力ある住宅商品や現場づくり、細やかなもてなし対応が宣伝になり、お客様に選ばれるので
す。
工夫に工夫を重ねて、努力して努力して魅力ある商品(住宅そのものと、家づくりのやり方)
をつくる努力をし続けることです。
3、思いを形に
「らしさ」は住宅商品に始まり、営業、設計、施工、アフターのいたる分野で形成する必要があります。マナーの良さだけでも優位性を築くことができます。
「らしさ」は、①すでに明確にあるもの、②まだ確実ではないが可能性があるもの、にわかれます。
①はマンネリでガスがたまらないように、いつもバージョンをあげていくことが大切です。
②はその有効な芽を育てていくことにより①のレベルにあげることができるものです。
思いを形・型にし、徹底して実践し、継続することで「らしさ」を形成することができます。
もし今なくとも、しっかり構築すればよいのです。会社設立時の思いや、住まいづくりを通じて固まってきた思いがあるはずです。
まずはこの思いが何かを確認してください。
今まで提供してきたお客様に良さ・らしさを確認してください。
また自分がいいなと思う企業があれば、その会社に教えを受けてもよいのです。
競争に勝てる「らしさ」の商品力の構築、売ることに強い「らしさ」の組織力の構築、すべてお客様のCS・CD実現が出来る「らしさ」の対応力の構築に全力をあげてください。
必ず道は拓けます。
(2016年10月25日 日本住宅新聞掲載)