①営業力低下危惧
今、賃貸などの活況で住宅業界は順調であるが、消費税アップで2年後以降の注文住宅営業はかつてない厳しい状況を迎えることが予測される。
商品力低下や、営業マンの知識力・商談力・行動力が不足し、情報も氾濫し、集客率の悪化、商談の長期化、成約率の低下に輪をかけてしまうだろう。受注を取るための基本を見失ったかに思われる時が来る。そのため今こそ―できればこの一年以内で売る営業の仕組みを再構築しなければならない。
現在、多くの工務店が抱える問題が3つある。①組織・システムの形骸化、②商品と顧客のミスマッチ、③営業力の低下である。
①組織・システムの形骸化の問題は、従来の組織やシステムが急激に変化する現在の社会状況に対応できなくなっていること。管理者不在に陥っていること、の2点である。
②商品と顧客のミスマッチの問題は、住宅のことをよく勉強し始めた賢いユーザーの出現に対応できず、差別化もせず昔のままの頭で対応しようとしていることである。
③営業力の低下の問題は、問題解決をしないマンネリ営業で勉強もせず、訓練もしない弊害が吹き出しているのである。
これらを改善するためには企業の「らしさ」を一日も早く確立し、売る営業の仕組み再構築を図ることが急務である。
②必然の営業力改革
今、受注が好調な工務店の営業はさまざまな知恵を使っている。
①見込客発見を専業化し、効率を上げる、
②企画型・メニュー表示でわかりやすく安心できる価格でスピードアップを図る、
③現場を営業の場として現場案内にフル活用、
④現場周辺からの受注に全力を上げる、
⑤感動のシーン・演出をふんだんに行う、
⑥HO客と新規見込み客の出会いの場の演出など効果的と思われることを、知恵を使い、積極的に営業活動に取入れ営業活動を「変えている」
のである。
常に営業システムの改善・改革を図っている。
中でも各社が力を注いでいるのはもっとお客様に近づくこと、「見込客の発見」である。効果的な集客方法やシステムを死に物狂いで模索・研究している。
SNSなどのWEB活用による見込み客開発はその最先端である。
また組織と個の両面からシステム構築を図っていることも大きい。
とにかく従来の経験と勘による営業戦略・手法では勝てないことははっきりしている。
早くその呪縛から逃れ、科学的な営業展開を行って欲しい。
③営業力の原点-攻め
住宅営業を取り巻く環境が激変していくなかで住宅の売り方開発も多々行われている。
それは「カウンターセールス」「エリアマーケティングセールス」「コンサルティングセールス」「紹介・友の会の見直し、縁セールス」「現場見学会や移動展示場の充実」「バス見」「土地有効利用による新しい顧客開拓」「異業種提携」「商品別の売り方」などである。
「カウンターセールス」は技術・デザインセンター、住宅館・ショールーム、ワークショップといったお客様と一緒に家づくりを考える場で行われる。
「エリアマーケティングセールス」はプラザなどをつくりコミュニティを大切にした地域活動、サークル活動を通じて地域密着をより強固にするためのものとして機能させている。
「コンサルティングセールス」は相談会、説明会、セミナーなどを通じてお客様の家づくり知識を支援したり、プロとしての提案力を充実させた取組みである。
こうした取組みに共通しているのは、お客様を待っているのではなく、技術力・営業力に基づいて企業側から仕掛ける取組みであることだ。
また住宅営業の原点である「住宅営業の三大技術」、①お客様を発見すること、②お客様と契約すること、③お客様に満足を提供し紹介していただくこと、この3点についてフローとプロセスがしっかり確立されているかをもう一度再点検してみる必要がある。
これが不十分であれば受注戦争で勝つことはできない。
「住宅営業の三大技術」の仕組みがあり「やり方があっている」「強い行動をする」があれば必ず成果は出る。
(2017年10月25日 日本住宅新聞掲載)