1. 個と組織の営業の融合
地場工務店・ビルダーも住宅会社として全社をあげて営業力を強化していかなければ競争に負けることになる。
今は「営業マン+商品+ブランド+システム」の時代の段階にある。見込み客発見や、お客様へのアプローチや商談展開の時、クロージングの時、引き渡し後のコミュニケーションの時であってもトータルで対応しないと、競合に勝つ強い訴求性を持つことができない。今は個人の力と組織・システムの力を融合させて対応することが急務である。
2. 住宅営業3大技術
住宅営業には個人・組織の基本の三大技術がある。1つは「顧客発見・情報収集の技術」であり、2つめは「商談展開・説得の技術」であり、3つめは「顧客満足実現・クレーム処理の技術」である。
①顧客発見・情報収集の技術
お客様(個人・法人)を探さなければ何も始まらない。
多面的、多次元的な営業活動を通じて潜在見込み客を発見する行為と技術が大切である。
潜在見込み客(可能客)は一杯いるが、多くの営業マンは待ちのナマクラ営業になって、住宅展示場で来店を待つことに多くの時間を費やしたり、組織営業として行われる見学会やイベントにほとんど依存していることが多い。来店がないなどで見込み客がないという言い訳が多く出るが、潜在見込み客の種類は約30種類以上(土地所有者や建替えをしたい人や区画整理地区の人など)もあり、潜在見込み客を探す方法も30種類以上(展示場、イベント・見学会、紹介、提携など)もある。
そのなかでも魅せる設計と魅せる現場を実現することで、満足されたOB客のホームオーナー様による紹介は最高である。契約の確率も極めて高く、商談時間も短い。
この紹介による縁の拡大をしていけば、非常に効率的で楽しいものになる。
最近は手法が大きく変わってきている。
WEB・SNSやVRを駆使して見込み客発見と成約の成果を上げてきている。
これに取り組まない企業は先行きが難しいといえる。
見込み客がないというのは待ちの営業であり、早急に改める必要がある。
②商談展開・説得の技術
発見した見込み客を契約まで持っていく行為と技術も大切である。
見込み客発見からクロージングまでのベストセールスシステムを構築する必要がある。
見込み客の濃度別管理や、ランクアップ対策など確実に実施すべきであるが、これらも個人にまかされていることが多い。
発見から契約までのストーリーづくり、お客様が安心できる技術などの演出、それぞれ段階別のツール・演出方法の強化、勝敗因分析による営業改善など工夫を重ねれば、確実に営業力を強化することができる。コンセプトブック、施工例写真集・プラン集、ご要望確認シート、敷調&環境調査、プレゼン(CADや手書き)など心をこめたツールとストーリを開発すべきである。
またどういうステップを踏むと契約の確率があがるかなど徹底研究するべきである。
③顧客満足実現・クレーム処理の技術
契約から引渡しまでのお客様への対応と状況進度管理と心のメンテナンスを行うものと、引渡し後のアフターサービスとクレーム対応と心のメンテナンスを行うものが大切である。
この分野は設計・工事やアフター業務が中心になるが、営業も関与する必要がある。
過去においては営業マンは注文を取れば新規のお客様へ心が移り、契約したお客様とのコミュニケーションを避けるか、稀薄になることが多かったが、これは論外である。
お客様が一番不安と心配になるのは工事着工が始まってからであり、この時に営業マンがきちんと対応し、不安と心配を取り除くことができれば、お客様の信頼を受けることができるのである。
営業マンによる契約から引渡しまでのアフターフォローと引渡し以降のアフターコミュニケーションを徹底実践することが、お客様の信頼をよび紹介を可能とするのである。
今は、個人の営業の時代ではない。組織としての支援システムをきちんとつくり、より効率的にこの三大技術が展開できるよう全社あげて努力すべきである。
そして全体としての営業力強化をはかることが不可欠である。
(2017年11月25日 日本住宅新聞掲載)