①見込客とは誰か
「住宅が欲しいひと、求めているひとはすべて見込客」である。
しかし特定の工務店の見込客を定義するならば、特定工務店の「特長とする住宅」に関心があり、そんな住宅に住んでみたい、建てたい、購入したいと思う人たちを指す。
この場合は決して住宅が欲しい人たちすべてではない。このことを確認しておく必要がある。
見込客は一杯いる。住宅は建てたいと思ってすぐ建てられるものではない。
10~18ヵ月の準備がいる。そのような見込客を探し育成していくことが大切なことである。
②個と組織による見込客開発
見込客を発見、開発するには「個」と「組織」が役割分担して行うシステムを確立すると効率よく行える。
見込客を発見し、開発するためにはお客様を引き寄せる行為「PULL」と積極的に働きかける行為「PUSH」が必要である。
お客様を「引き寄せる」行為は、規模、ブランド力、商品力などを必要としており組織的な活動が効果的である。一方、お客様に「積極的に働きかける」行為は、ハイタッチな対面折衝が主になるためほとんど個人の活動である。
こうした個と組織による見込客開発の役割分担は重要であるものの、見込客発見と開発の最も重視すべき最高の方法は「紹介」であることを忘れてはいけない。
③自社に最適な見込客開発システムの構築
見込客発見法の代表的な方法は、「紹介」「現場・完成見学会」「展示場」「ファーミング」「イベント」「WEB」であるが、いずれにしろ一つの方法では解決しない。
多次元の開発システムを組むことが重要である。
これら見込客発見法の一つひとつについて「個」と「組織」の役割、取組み方法を整理し、システム化し実行することである。
「紹介」はHO顧客は勿論のこと、社員、協力業者、取引業者、縁戚、知人、友人とさまざまな範囲で考えられる。
「現場・完成見学会」にしても構造、完成という工程の違いのほかに、単独で行うものと、数ヵ所の現場の連動など関連付けた計画を立てる必要がある。
「展示場」は単独ではなく「現場」や「ファーミング」「イベント」と組み合わせて行うようにする。
展示場はショールームとしてだけでなく、サークル活動、勉強会、セミナー、イベント、地域活動など、数々の営業活動に活用できる。
「ファーミング(ハンドイン訪問)」は大変面倒なことではあるが、現場周辺の見込み客開発に欠かせないので必ず実行してもらいたい。
現在は手法が大きく変わってきている。
WEB・SNSを駆使して見込み客発見と成約の成果を上げていく必要がある。
これに取り組まない企業は先行きが難しいものになる。
これらの取組みで大切なことは、「何のためにやるか?」をたえず問い直し「目的」と「成果」をはっきりさせること。
そして常にバージョンアップ、“改善”することを心掛けることである。
④見込客が獲得できない理由
見込客がいない工務店や営業マンはおかしいと、思わなければいけない。
見込客はかってにやってくるものではない。偶然発生するものでもない。
創りだすものである。
「見込客がいない工務店や営業マン」というのは見込客を創りだす努力と行動を怠っている会社や人たちである。そのようなところに受注が生まれるわけがない。
見込客の種類は一杯ある。また見込客を探す方法も一杯ある。
なのに、なぜ見込み客がいないのか、それは待ちの営業でパックン営業しかせず、積極的に見込客開発活動をせず、またHO客をも大切にしない結果である。
「やることをやらず」「行動せず」ただひたすら口に獲物が入るのを待っている怠けものではいけない。
見込客の数と質は企業と営業の「知恵」「行動力」「努力」に比例することをよく認識する必要がある。
(2018年1月5日 日本住宅新聞掲載)