1、お客様との生涯のおつきあいが大切
20世紀の住宅会社は釣ったお客様に餌をやらない販売至上主義の会社が多かった。
見せ掛けの商品と、受注することのみに神経が注がれた、実にいい加減なビジネス形態であった。
お客様の「家族の幸福の城」をつくるという考えもなく、受注すればあとは何とかなるという無責任な業務内容であり、CSもなくCDもなく、ほったらかしであった。
そのためやむを得ずにやっているだけの義務のアフターであり、クレーム処理に近いものであった。
21世紀のこれからはこのような旧い間違った通念を破壊し、真の顧客満足・感動を実現する工務店・ビルダーが評価される時代になるよう、新しい真の住宅ビジネス道をつくりあげねばならない。
地場工務店は建てたお客様に評価され信頼され、地域においても評価・歓迎されるようにならなければならない。
そのためには建てたお客様と生涯のお付き合いをする姿勢で、あらゆることにのぞまなければならない。
2、7回の接遇機会
人間がおぎゃーと生まれてから死ぬまでに7回ぐらい住宅・不動産に関与する。
学生時代の賃貸アパートに始まり、スターターハウスの購入、戸建住宅の建設、リフオーム、相続などである。
地場工務店はこのようなお客様のライフスタイルの変化による需要をしっかり捉えていく必要がある。工務店だから賃貸や土地には関与しないという姿勢ではチャンスを失うことになる。
そしてお客様をつかんだら離さないこと。お客様の住宅・不動産にかかわるものはすべてお手伝いすることが大切である。
これからの時代、自社だけですべてをこなすことは不可能であり、必ず何かしらのコラボ連携・ネットワークで対応していかなければならない。
住宅だけでも大きな変化があり、技術的にもむつかしく、対応することはできないはずで、研鑽しあえ信じ合える仲間でのネットワークをつくるべきである。
もともと職人・協力業者のネットワークが工務店であり、それを工務店同士か関連する業者や他分野の人々を巻き込んでやればよいだけである。ネットワークでパワーアップを図り、工務店のビジネスサービス範囲を広げ、お客様との生涯のお付き合いができるようにすることがこれからの地場工務店の発展を決める。
現に土地なしの若い層を捉えるには土地手配力がないとうまく対応できず、業績も苦戦しているはずである。もう工務店単独の時代ではないことをしっかり理解して、生涯顧客のために新しく仕組みを構築することである。
生涯顧客化をはかるためには、友の会や情報誌の作成などを絶対に実施し、OBホームオーナー様に働きかけることが大切である。お客様の家族や縁のある人々を将来の有望見込み客にするためには、お客様に対しての住生活に役立つ情報を含めたお手伝いをすることである。そして地域とお客様になくてはならない存在になることである。
3、リフォーム受注を
生涯顧客化をはかる場合にリフォ―ムにしっかり対応しないと、生涯顧客化は夢となる。
リフオームの場合、その家を建てた工務店に仕事の依頼が来るのは修理や手直し、塗装工事などの軽微なものだけである。お客様自身が厳しくチェックされ、設計提案力がないと、メンテナンスや対応が良くても、大型リフォーム(リノベーション)の仕事はこないので、心しなければならない。
厳しいがこれが現実である。生涯顧客化をはかるためには、契約し、素晴らしい家を建てる、アフターサービスもしっかりやることは当然であるが、トータルとして設計提案力がなければ相手にしてもらえないことを認識しておく必要がある。
大型リフオーム、リノベーションは空間の再構成の提案であり改善であるため、設計提案力が必須になっている。設計力・施工力にアフータセールスをしっかりやりきることである。
この受注ができない場合には生涯顧客化は難しい。お客様のライフサイクルの変化はビジネスチャンスであり、これをきちんと受注できるようにビジネス業態を固めていく必要がある。
変化することを恐れず、しっかり進めてほしい。
(2018年7月25日 日本住宅新聞掲載)