本稿にいう「設計申込制度」とは、プラン提案をするにあたり、設計申込を経てからお金をいただく流れを制度化することをいいます。この制度は、広く実践される企業が増えてきました。
一般的に多くの企業では、営業の早い段階でプランを提案し、打ち合わせを続けプラン確定に至り、実施図面作成をする段階で契約ないしお申し込みをいただいていると思います。その場合、営業のスタンスも営業初期段階でプラン・見積もり提案のアポイントに持ち込むことを重視します。
結果として、プラン提案によりお客様はそのすり合わせに進むか、再提案となるか、失注するか、ということになりますが、契約に繋がらない限り提出したプランは結果として全てムダとになります。これは労力の大きな損失で、コストアップでもあり、解決すべき課題です。
『設計申込制度』は、そのようなプラン作成・提案のムダを省くだけでなく、お客様にとっての理想的なプラン作成・提案に力を注ぐるようになり、提案力・設計力の向上に直結します。また、お客様にとっても、納得性の高いプラン、満足度の高い住まいづくりに直結しますので、双方にとってメリットが大きい制度と考えられます。
『設計申込制度』実践のポイント
まず、プランは無料でもらえるのが普通と思っているお客様に対し、共感・納得を得るひつようがあります。そのために、①お客様にとっての住まいづくりの流れとしてプラン作成の意味と設計申し込み制度のステップが理想的であることをご納得いただくこと。そして、②そのような制度を採用している会社として自社を選んでいただくことです。
①について、プラン提案は、お客様にとっての住まいづくりを左右する最も重要なステップとなることをお伝えします。
「世界唯一の敷地に、願望を実現する理想的な住まいを提案をするためには、法規だけでなく日射や風の通り方、周辺建物状況など、敷地環境に関する情報が不可欠です。さらに、お客様の望む暮らしについてヒアリングを経てしっかり把握し、それをプランに反映されることが重要です。それらの事前情報が不足している中で、とりあえず提出されたプランは、本来敷地条件も生活条件も異なるお客様にとってあり得ないことなんです。」ということを伝え、納得していただきます。
②そして、「プラン作成は沢山のステップを経て行われるもので、安易に提出することはなく、申し込み制度により調査経費をいただき、それによりしっかり敷地を調べ、ヒアリング結果と共にプラン作成に反映させる。お客様にとっての理想の住まいづくりのためにそのステップを自社では徹底している。」
ということを住まいづくりのプロとしてお客様にしっかり伝え、納得していただくこと。これが営業段階で必要となります。もちろん、その背景には、設計力が非常に重要であり、そこに力を入れているからこそのステップであること、設計力が自社の強みであること、感じていただくことにも繋がります。
さらに、もちろんプランそのものの提案力を向上させることも必須です。そのために、提案力の源となる、敷地環境調査の実施とヒアリングの精度を高めることがポイントとなります。この両者がそろえば、おのずと理想のプランは限定されます。これらの仕組みづくりについては、また別の機会にご紹介させていただきますが、結果として設計担当者の負担低減にもなりますので、ぜひ実践していただきたいと思います。
プラン提案力が向上し、自分にとってのベストなプランで家を建ててもらえる、と思っていただけば、お客様の信頼も高められます。住宅産業塾において、『設計申込制度』は基本となる業務改善事項として、会員の皆様にも導入を推奨しています。
設計申込制度は、アフターインサイドセールスシステムの1項目です。ご興味がある方はこちらもご覧ください。
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