1、三つの満足実現を
実際の施工段階に入って実現すべきことは
①顧客の満足、
②近隣配慮による満足、
③利益確保による満足の三つの実現である。
①の顧客満足で実現する内容は、現場きれい―魅せる現場、工期厳守、残手直し工事0の引渡しの工事三大条件の実現であり、お客様との現場立会い説明・確認と定期連絡の報連相打の徹底実行である。
②の近隣配慮による満足は騒音(施工音・ラジオ他)、ゴミ・埃、駐車などで近隣に極力迷惑をかけないことと、朝夕の近隣道路掃除と、気持ちの良い挨拶の実行である。そしてプロの技術・技能集団としての技術力発揮の魅せる現場の実現である。その施工する住宅のデザインがよければ①と②で完全に「現場が商品であり展示場」になり、[お客様が支援者]になるものである。このことにより近隣の方の有望見込み客開拓につながり、施主たるお客様からの紹介による受注も可能となる。
③利益確保による満足は企業のエネルギー源の確保であり、企業の充実・発展と社員・協力業者の幸福をもたらし、アフタサービスなどの充実でCSが強化できる。また明日への投資も可能となり、人材も技術も強化することができる。
2、四つの働きの場である現場の活用を
魅せる現場は四つの働きをする。①新しい見込み客の発見の場、②見込み客のランクアップの場、③テストクロージングの場、④クロージングの場の四つであるが、これを活かさない手はない。しかし現実は汚い現場で、地場工務店としての寿命を縮めているのではないかと思われるぐらい情けないものである。猛反省をし、魂を込め、施主と近隣の方が感動する魅せる現場づくりに邁進することである。
3、工事三大条件の絶対厳守を
① 現場をきれいに―魅せる現場の実現
この世の中で汚いのが当たり前というものはない。
きれいにして施工するのは基本中の基本である。きれいにすることによって「現場が商品であり展示場・店舗」になるのである。また、きれいにすることによって
(1)お客様が安心され満足される。
(2)ご近所の方も素晴らしい技術技能集団と評価され未来の見込み客になる。
(3)営業はいつでも安心して現場活用ができも自信をもってアピールすることができる。
そして
(4)きれいな現場は職人の作業環境の安全を確保することができる。
(5)会社にとってはお客様に喜ばれ、ご近所の評判が良く、営業にも使え、働く職人の安全確保ができ生産性も品質も向上し、CS実現により回収も促進できる。おまけに紹介までいただけるのである。
この現場きれいを実現するためには何よりも本気の実行しかない。
本気・実行・徹底できれいな現場を実現している工務店がある。整理・整頓・清掃・清潔・習慣(躾)の5Sを実践し、さらに演出としての魅せる現場にしているためその地域で群を抜いて信頼が高く業績も良い。
②工期厳守
お客様との工期の約束は絶対守らなければならない。さらに企業内部で決めている標準工期も守らねばならない。工期を守る、守らないは意識の問題が大きい。絶対に守って遅延なく引き渡すことを決意し実践することである。工期を守るには工事工程表、総合手配・先行管理表を作成し、しっかり手配確認をすることである。標準工程表通り進めるとCSも原価も良くなる。
③残・手直し工事0の引渡の実施
工務店・ビルダーでは残工事や手直し工事があるのに引渡をするのが通常である。この残・手直し工事がCSをダメにして見込み客を減らしているのである。またその対応が悪かったり遅れたりすると確実にクレームに発展するため、どんなことがあっても残・手直し工事0で引き渡すべきである。工期が遅れて慌てて施工するものだから品質も悪くなり、混乱するために実際に現場も汚くなることが多く、残・手直し工事も残るのである。
残・手直し工事0の引渡をするために自社の品質基準に基づいた品質管理も徹底しなければならない。
工事三大条件を必達するためには事前準備をやりきることであるが、①チームによる品質管理、②科学的工程管理、③先行管理の徹底実践が必要である。
(2019年7月 25日 日本住宅新聞掲載)