1感動を呼ぶ施工を
お客様が求められる住宅を心と思いを込めてつくらなければならないのは当然であるが、さらに専門職としてのプロの現場と思わせる「5S+美+良品質施工」+「好印象マナー」+「近隣配慮」の魅せる現場にしなければならない。お客様が住まわれる住宅の品質が悪くては話にならないし、またその現場が汚ないのでは施工する資格がない。
工事部門は品質基準に基づき心を込めた良品質施工をする。
工事管理者は工程別工種別品質管理を行い、お客様との工事中(5~9回)の立会い説明と確認を行う。またお客様の不安と心配を取り除くために週2回以上の訪問・電話・FAX・メールなどによる報連相打を実施する。当然これでお客様は満足される。しかし、これだけではお客様と地域の人々に認知し歓迎される工務店としては不十分である。
2魅せる現場づくりを
これからの差別化に大きな影響を与えるのが現場美化である。お客様にも、ご近所の方にも、また通行人の方にも感動を与えることができる魅せる現場をつくらねばならない。感動の魅せる現場とは
①現場きれいであること。
5S運動をし、徹底して現場をきれいにすることである。
その時に1日5回の清掃をすると効果的である。職人が朝、現場到着時に現場周辺道路の清掃、10時・12時・15時の休憩前の作業したところの清掃、そして作業終了時に屋内・敷地・現場周辺の道路清掃の5回清掃をやると、本当に現場はきれいになる。敷地をきれいに、そして建物内部は箒ではなく掃除機できれいに掃除をする。
近隣配慮の一つとして周辺の道路を掃除するのは、いつも施工中に音や埃やゴミで近隣に迷惑をかけているからである。また、車の通行や駐車などでも迷惑をけることが多いこともある。いつもお詫びの心と、ご協力に感謝の心をもち、それを具体的な形として道路清掃を行うものである。この近隣配慮は絶対にやらなければならない。施主としてのお客様がそこにお住みになる時に、工事業者が悪くて、ご近所に迷惑をかけたままでは、お客様の肩身が狭くなるもので申し訳ないことである。
②魅せる現場をつくる時は、やはりそれなりの演出をしなければならない。
通常大手の住宅会社は大金を投資して展示場を作るが、地場の工務店はご注文をいただくお客様の現場が商品であり展示場であるため、お客様やご近所の方や通行人の方にも「おお、素晴らしい現場だな」と評価していただけるように心を込めて演出をするのである。現場をきれいにすることと「魅せる仮設計画と魅せる表示」をしなければならない。
トイレ、ゴミ箱、足場、養生に配慮しなければならない。トイレはご近所にとってはたまったものではない。美観も悪いし臭気もたまらない。トイレの位置や囲いも考える必要があるし、臭気がないように徹底してきれいにしなければならない。ゴミ箱もきれいに分別管理をしなければ美観も悪く安全上も良くないので注意を要する。
足場や養生ネットも安全上きちんとしなければならないのは当然であるが、これらがだらしない状態であれば、まことにイメージが悪い。安全上からも仮囲いは必要であるが、演出上も大変重要である。また看板表示をしてアピールすべきである。
施工する職人や業者のリストを表示したり、検査状況を表示しているものもある。いずれにしろお客様と、ご近所の方と、通行人までを感動させる状態にすることが重要である。
工務店の原点は現場にあることを忘れてはならない。
現場きれいを実現するには5S運動は絶対不可欠の条件である。5Sとは整理・整頓・清掃・清潔・躾(習慣)である。すなわち「片付け」ることが基本になる。配線と、大工道具と資材を床に置かないこと、上に置くことが現場きれいの第一歩である。これができると現場きれいは当然でき、あとはきちんと掃除をすれば、お客様に感動を呼ぶくらいになるものである。掃除に時間がかかるのは床上が汚く資材や道具が散在しているからである。まずは片づけることから始めてほしい。
現場きれいになると効果は大きい。「たかが掃除、されど掃除である」ことを忘れず、心して現場を磨いてほしい。
(2019年10月 25日 日本住宅新聞掲載)