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持続的社会実現のためSDGs取り組みを

 

今、SDGsは企業だけでなく学校教育等にも取り入れられ、持続可能な社会の実現という共通目標に向けた動きとして世界的に広がりを見せている。

 

一方で新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、社会、そして人々の価値観にわたり大きな変化を引き起こしている。そして、その変化にあわせるかのように、持続可能性を高めるためには、今までの経済第一主義の発想ではwith・after・コロナ時代を生き抜くことができないことと、経済・社会・環境を共に重視しようというSDGsへの共感が広がっているからである。

 

 

1、SDGsとは?

SDGsとはSustainable Development Goals (持続可能な開発目標)の略称で、国連サミットの中で決められた2030年までに実現させる国際社会共通の目標である。21世紀の世界で主に掲げる課題として「17のゴール、169のターゲット」をあげており、日本政府もSDGsに積極的に取り組む姿勢を打ち出している。地球と人類、双方の持続可能性を求めた共通目標として、経済・社会・環境に関わる重要な価値を有している。

 

2、SDGsに取り組むメリット

工務店は、もともと生活基盤である住まいを通じて、地域に密着し地域の方々の暮らしや経済を支えている事業であり、地域の持続可能性に貢献している。そのため、工務店事業そのものがSDGsと好相性で、工務店はSDGsを取り入れやすい業種であると言える。

 

①SDGsの取り組みで顧客や地域の評価が上がり、企業のブランド価値を高めることができ、働き甲斐も向上する。

②SDGsを通じ新しいコラボレーションや新たなビジネスチャンスにつながる可能性が考えられる。また地域貢献にもつながる。

③自社の将来像を定めるにあたりSDGsの各ゴールと企業活動における課題を結び付けた自社のビジョン・経営計画の策定ができ、様々な経営力強化に役立てられる。

④人材募集や育成、組織活性化に役立てられる。

⑤銀行への信用が増大する。

⑥事業承継・後継者育成の重要な要素になるなど、多くのメリットを享受することができる。

 

社員は自信とやりがい、そして会社への信頼と愛着をもって仕事に取組めるようになり、長期的な視野でみて収益力の向上、優秀な人材の獲得にも繋がる。

 

3、工務店のSDGs取り組みかた

SDGsを単に企業PRとしてHPに載せるだけでなく、会社の経営計画にまで取り込んでいくことが重要である。そのためには、次の2つのステップを踏む必要がある。

 

まずは、自社の取り組んできた事業内容と、強みが何かを洗い出しリストアップ化したものが、目指す17の目標のどれにあてはまるかを確認すること。例えば、住宅の高性能化に取り組んできた、木にこだわってきた、健康住宅に取り組んできた、また女性や高齢者層を積極的に採用してきた、地域貢献してきた等々、様々な取り組みが17の目標いずれかに合致することを知ることである。

 

この段階でHP等に宣言として公表されている企業も多くあるが、しかしこれだけでは不十分である。

 

次のステップとして、SDGsを通じ、将来持続可能な社会に貢献する企業として、自社の将来を描き、実行し、それを社内外に浸透させることが最も重要である。将来(2030年には)、自社がこうありたいという姿を明確にし、今とのギャップをどう埋めていくかなど、魅力的で将来性あるものにするためにも実現可能性を考慮しつつ優先順位を決め、優先度の高いものから17の目標に紐づけていくこと。今後の具体的取り組み内容を長期事業計画として組み立てる。そしてこれを確実に実行していく。このことが最も重要なのである。

 

もちろん、この作業は会社そして社員・関係者の行く末を決めることでもあるので、経営者一人で悩むのでなく、社員また外部協力者を巻き込み、一緒に熟慮してつくりあげるべきものである。

今、より良き社会、地域になるために貢献する企業が求められ、認められてきている。提供する商品・サービス・経済活動等々で地域の課題解決ができていけば住宅道が実現できる。その実現するための指標としてのSDGsを本気の実行レベルで取り組んでほしい。

(2020年11月 25日 日本住宅新聞掲載)