1ディズニーランドは
「おもてなし経営」
お客様をおもてなしするためにきれいに掃除をするという。ディズニーの園内の芝生がいつも青々としているのも、裏方のキャストが枯れた芝生を毎日植え替えているからだが、これも現場をいつもきれいにしていこうということ。つまり、おもてなしの心である。
ディズニーテーマパークでは、「SCSE」と呼んでいるおもてなしの行動基準がある。
一、Safety(安全)
二、Courtesy(礼儀正しさ)
三、Show(ショー)
四、Efficiency(効率)
ディズニは―これを徹底して実行することから顧客の感動とリピートを呼んでいる。
ビジネスの成功にはおもてなしが必須!
2きれいな心があれば「現場はきれい」
現場がきれいかどうかは、その住宅会社の考えや姿勢(家づくりの哲学)を映し出す鏡でもある。
社長から社員、現場で作業している職人にいたるまで彼らの姿勢・考え方が現場に写しだされる。
お客様の身になって本気で家づくりをしていこう、おもてなしをしていこうと心から思っている住宅会社であれば、現場は必ずきれいにしているはずである。反対に、作業レベルの意識で、こなせばいいやとか、適当にやって早く工事を済ませようと思っていると、魂が入らず、心が汚れているから現場も汚くなる。近隣トラブルの原因も「現場がきたない」ことからも発生する。
現場きれいがCSと信頼を呼ぶ。現場きれいが基本!
3ミス・ロス・ムダによる損害発生の防止を
ミス・ロス・ムダはCSも信頼も利益もなくしてしまうので、徹底的に防止・排除しなければならない。未熟や不注意や不誠実でミスやロスやムダが起こる。連絡ミス、指示ミス、確認ミス、打合せミスなどでトラブルやクレームが発生する。営業ミスや、設計ミス、積算ミス、施工ミスや、検査ミス、さらには引継ぎミスなどでもトラブルやクレームが発生する。このトラブルやクレーム解決のために大変なエネルギーの投資を余儀なくされる。
さらにもっと悪いことは解決のためにお金が余分にかかることである。CS実現のためなら価値もあるが、直接費用がかかるだけではなく、経費も余計にかかる。そして致命的なのは、これがたとえ解決しても信頼の喪失は計り知れない。
未熟によるミス・ロス・ムダに対しては、標準化とシステム化をはかり教育・トレーニングを徹底することと、マネージメントを強化することで防止・排除をする。また不注意や不誠実によるミス・ロス・ムダがないようにするために、働き甲斐のある環境づくりに努め、組織の活性化を図り、燃える集団化に努めることである。
実践では各部門の専業の品質を上げることが大切である。
業務の明確化、標準化・システム化とその徹底が必須!
4営業から設計・工事にいたる業務システムを見直し、再設計・再構築を行うこと
営業→設計→工事の業務の明確化と引継ぎシステムの明確化、
設計基準の確立、オプションの範囲と時期の明確化、完成した図面と完全な仕様書による引継ぎの確立
積算基準の明確化・確立と、事前発注システムの確立。
品質基準の明確化、検査システムの明確化とチェックリストによる完全実施。
お客様対応を徹底し、立会い説明・確認の実施、報連相打・コミュニケーションの徹底で、お客様の不安を除き、安心と喜びを感じていただく。万が一に発生する苦情に対しては大迅速で対応し問題解決を図る。
しかし、何としても
実行実現する必要があるのは「完成した図面と完全な仕様書による事前発注」の実施である。これができれば住宅経営革命が起こると断言してもよい。
5シンパと紹介が増えて善の循環会社になる
CS・CD・CTの
実践ができれば、顧客のファン化が可能になる。すべての顧客というわけにはいかないが、多くのファンが誕生する。引き渡しまでにも紹介が発生する。感動し喜びをシェアーしたくなり紹介しても問題なし、間違いなし(CT)という確信ができ、知人・友人を紹介するようになる。この信頼による縁の拡大が無限連鎖ネットワークにつながる。まさにこの信頼の縁=信縁が地場CS工務店・ビルダーの原点である。
喜ばれた顧客との関係性を進化させていけば、新しい需要と戦力の誕生にもつながっていく。シンパ化したファンにアメニテイ&コンビニエンスサービスによるコミュニケーションと暮らしのサポートを行う。今までの義務のアフターサービスではなく、生涯顧客化としての好印象対応を行うものである。これを仕組化し、おもてなしとサービスを提供していくと、顧客に強力支援者となっていただける。イベントの協力も、エスコートハウスも、有望見込み客の紹介もしていただける。誠意を尽くしていけばアフターセールスが成就できる。住宅道の始まりである。
これからの住宅業界の厳しい競争の中で勝ち残っていくのはこのCS実現企業である。
(2021年4月 25日・5月5日 日本住宅新聞掲載)