積算とは広辞苑を引いてみると「事業・工事などの費用を見積もりで計算する こと。」と出ています。また、見積もりとは「あらかじめ大体の計算をするこ と。」と出ています。積算とか見積もりはいずれも概算的要素が強く、実際に、 正確な工事原価はその工事が終わって精算してみないと分からないのが実情で す。それでも、工務店経営上は工事着手前にできる限り正確な工事原価や粗利 益を把握しておきたいはずです。 積算には大きく分けると営業積算と工事積算とがありますが、ここでは工事積 算について少し書いてみたいと思います。昔から丼勘定というのがありますが、 また、広辞苑によれば「職人などの着ける腹掛けの前隠しに金を入れ、出し入 れしていた。」ことに由来し「予算を立てたり、決算をしたりせず、手元にあ る金にまかせて支払いをすること。それに似た大まか会計。」とあります。こ れではいくら儲かったのか、損をしたのか、直ぐには分かりません。今ではこ のようなことはあまり無いと思います。 そこで、工事積算を行い誰がやっても間違いの無い正しい原価管理が必要とな ります。正しい原価管理をするには、その環境が整っていなくてはなりません。 その環境整備の要点とは、まず、数量の拾い基準(積算基準)がしっかりして いなければなりません。拾い基準が無かったり、人によって基準が違っていた ら、同じものを積算しても人によって数量が違ってしまい困った状況になって しまいます。数量拾い基準は仮設工事、基礎工事、木工事・・・・・などの工 事別につくるのが良いでしょう。工事別の数量拾い基準ができたら施工・資材 業者さんと必ず取り決めを行ってください。 次に必要なものは正確な単価です。単価があり工事積算をするのですが、その 後施工・資材業者さんとのネゴにより金額を決めている工務店さんをよく見か けます。これでは実務経験や施工・資材業者さんとの力関係により、ネゴの影 響が出て発注金額が変わってしまいます。その発注単価も業者さんとの取り決 めや定期的な見直しを行い、工事担当者が都度ネゴをしなくても良い正しい単 価の設定が必要です。 あと原価の膨らむ大きな原因として、予備費の計上があります。これは積算上 の拾い落としなどのミスを補うために、入れるケースがほとんどですが、でき る限り入れないようにしましょう。それには、例えミスがあっても隠さずに報 告できる風通しの良い社内風土の醸成も必用ではないでしょうか。これが多い と工事積算時の粗利益の把握に支障をきたし、また過剰な発注により無駄な原 価流出にも繋がりますので気を付けましょう。 数量の拾い基準も発注単価も施工・資材業者さんと取り決めを行うことにより、 双方、何度も積算やネゴをせずに済み、経験不足によるネゴ損も無くなり、副 次的にお互い業務効率も上がりウインウインの関係が創出されることでしょう。 住宅産業塾では、原価管理やコストダウンの手法についてご指導も受け賜わっ ておりますのでお声かけください。 (文責:住宅産業塾 事務局 鈴木秀治)
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