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● 好評連載 お客様を呼ぶブランディング講座 ⑨

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   表現をブランドコンセプトに合わす

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前回、ブランドコンセプトの設定について説明しました。

ブランドコンセプトが決まれば、次はそれをどう“表現”してどう“伝える”

のかを考えるフェーズになります。“表現”において大事なことは、まず1つ

目に「ブランドコンセプトに合っている」こと。2つ目は「ブレない」こと。

そして3つ目は「継続すること」です。

 

1つ目の「ブランドコンセプトに合っている」のは当然といえば当然のことな

のですが、合っている表現とはどのようなものかを見出す点が難しいところで

あり、それこそがクリアしなければいけない課題となります。

 

前回の例を使いケーススタディしてみましょう。ブランドコンセプト「住まい

の町医者」と「住まいのコンシェルジュ」は、共にお客様に寄り添う親身なサ

ービスを強みにしている点は共通していますが、前者は格式ばらず親しみやす

いイメージ、後者は一流ホテルのような上質なサービスを提供するイメージで

ブランディングしたいと想定します。例えばこの場合、表現にどのような違い

が生まれるでしょうか。

 

このように方向性を検討する場合には、十字マップを利用すると分かりやすく

導けます。方向性が視覚化できるので、社員で認識を共有する際にも便利です。

今回のケースでは、縦軸に〈憧れ〉―〈親しみ〉、横軸に〈情緒的〉―〈機能

的〉を設定しクロスさせ、そこに消費者が得る価値や印象をポジショニングし

ていきます。

 

「住まいの町医者」は、親しみやすさと安心が売りなので、〈親しみ〉と〈情

緒的〉寄りの象限に位置づけられます。「住まいのコンシェルジュ」は上質な

サービスで暮らしをサポートするので、〈憧れ〉と〈情緒的〉寄りのポジショ

ンになります。このように、二つのコンセプトの位置付けに違いが生まれまし

た。こうして、まずはブランドコンセプト自体の位置づけを明確にします

(図1)。

 

次に、ブランドコンセプトの位置づけに合った表現要素 (色や文字フォント、

文章のトーンなど)を抽出していきます。例えば色の場合、〈親しみ〉×

〈情緒的〉に位置づけた「住まいの町医者」だとオレンジやグリーン、

〈憧れ〉×〈情緒的〉に位置づけた「住まいのコンシェルジュ」では、ダーク

ブラウンやワインレッドが導かれます(図2)。少し慣れが必要ですが、

この様に表現要素別に方向性を設定すると、それらを組合せることにより視覚

情報がブランドコンセプトに合わせて統一できます。その結果がこれまで表現

してきた方向と大きく食い違うようであればVI(ヴィジュアル・アイデンティ

ティ)を導入し、視覚情報を再整理する必要もあるでしょう。また、表現する

ものの中には施工例写真もあります。このマップ上に施工例写真を置いてみて、

ブランドコンセプトのポジションに近いものだけを選別し見せていくというこ

ともブランディング上必要になります

 

次回は、ブランドの表現において大事な「ブレない」ことと「継続すること」

について説明します。                

(株式会社トランスフォーム 芦田 浩一)