住宅の耐震技術を見直す

 

熊本の地震は、震度1以上の余震の数が1,200回を超えているとともに、震度5

や6の数も非常に多く衝撃を受けた方もおられると思います。木造住宅の耐震

には耐力壁となる壁を多く配置することが必要ですが、その耐力壁は筋交いや

面材で構成するのが一般的です。建築基準法では、大きな地震が発生した時に、

最低限倒壊しないことを定めているのですが、その想定としては余震の数や大

きさまでは考慮されていないと思われます。

 

耐力壁は、筋交いを金物で固定したり、面材を釘で留めるという施工をします

が、これらは大きな地震を受けると緩んできます。この緩んだ状態で再び大き

な揺れを受けると、1回目よりも小さな振動でも倒壊する危険が増してくるの

です。そのため、今回のように大きな余震が大きかったり、小さな地震でも数

が多いと、被害が拡大していくということになります。

 

大手住宅メーカーは、実際の建物で振動実験をおこない、「神戸の地震波に何

回耐えても大丈夫でした」といった宣伝をよくおこなっています。今回のよう

な余震が多い地震では、その効果が大きいのは事実です。では大手でないと耐

震対策ができないかというと、そんなことはありません。まずは耐力壁を多く

配置することです。出来れば品確法の耐震3程度にすることをお勧めしますが、

最低限でも耐震2レベルは必要でしょう。

 

また、免震や制震といった技術も一般化されております。免震は初期費用が多

く掛りますが、揺れそのものが怖いというお客様にはお勧めです。制震は建物

への影響を小さくしていきますので、今回のような地震でも効果を発揮するで

しょうが、制震装置の配置の仕方などをきちんとおこなわないと、効果のない

ものになってしまいます。

 

いずれにしろ地震の多い日本では、どこに行っても安全と思われる地域はあり

ません。最近は省エネに注目がいっておりますが、再度耐震性能についての議

論が出てくるかもしれません。お客様に聞かれた時にどう答えるか、この機会

にしっかりと対策を固めてください。

 

 



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