●11月・月例研究会より
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住宅業界も働き方改革実現を!
住宅産業塾11月の月例会では、最近よく耳にする”働き方改革”をテーマに、
人材をどのように活用しているのか、今後どのような方向へ進んでいくのか、
そして人事評価をどうしていくかについても情報提供しながら、参加者による
情報交換、アドバイスなどをおこないました。その内容について報告いたしま
す。
☆働き方改革の現状
働き方改革とは、「一億総活躍社会を実現するための改革」ということを提唱
し、少子高齢化が進む中でも「50年後も人口1億を維持し、職場・家庭・地域で
誰しもが活躍できる社会」を目指してスタートしました。この背景には、日本
は他の先進国に比べると、生産年齢人口の減少傾向が顕著にあり、このままで
は国力の低下につながってくるという危機感があるということで、内閣が本格
的に「働き方改革」に乗り出しました。
働き方改革で一番多いのが、労働時間の削減です。特に残業を減らしていこう
という動きは多くの企業が取り組んでいるようです。この時間を減らすために
も生産性を上げる、業務効率を上げていくといった必要性がありますが、それ
にはIT活用が出てきます。10月の月例会において、監督業務効率を上げるた
めに、現場での写真撮影と報告書が連動できるシステムを導入したところ、会
社に戻ってからの作業が大幅に短縮でき、時短につながったといる事例を紹介
しました。今後もこのような動きが活発となってくると思われます。
住宅産業塾会員の皆様にもアンケートを取っておりますが、特に残業について
は強制的に帰るように仕向ける、意識改革などもおこないながら、最近は残業
が全体的に減ってきているようでした。
☆人材不足の中、女性にもっと活躍の場を!
業務効率とともに課題となるのが、人材確保や育成です。建設業においては就
労環境の整備や人材確保・育成に向けた取り組みが国土交通省と厚生労働省が
連携して取り組まれています。特に最近よく聞くのが、女性技能者を増やそう
という取り組みです。女性の現場監督をはじめ、大工やその他職種の職人でも
女性が活躍する姿が目に映るようなってきました。女性が活躍できるうように、
現場トイレや更衣室の整備、業界をあげて女性登用の促進、女性用の作業服や
工具・ツールの開発、働きやすい事例の共有、そして同じ立場の方々が集まっ
て意見交換や勉強会などもおこなわれるようになってきました。さらにこのよ
うな活動を見える化して、建設業=男社会といったイメージを払拭し、さらな
る建設業への女性進出を促しております。
女性監督を採用しているところでは、元々女性の募集をしていたわけではなく、
たまたま女性が応募してきたというきっかけが多いようです。女性監督を採用
するにあたり、社内体制としては、残業削減や産休、育児休業規程の見直し改
訂、就業時間内の休憩時間の設置、健康診断以外に健康相談受診の奨励などの
バックアップ体制を整えてきているそうです。業務としては、重い荷物を運ぶ
などは難しいですが、女性ならではの気配りなどもあり、お施主様が女性一人
というケースのときは、「貴方が担当でいろいろ細かいことまで相談できて、
本当に良かった」などといったお言葉をいただけたという事例もありました。
また、女性パートの方が品質検査をおこなっているところもあります。パート
とは時間制限はあるものの専門性のある仕事が可能です。マニュアルを整え、
やり方をしっかりと教育することで、限られた時間でも業務として携わること
ができます。また、女性が現場に行くと職人さんもあまり強く言わない、配慮
してもらえるといった効果もあるようで、既に数社でこのような取り組みをお
こなっています。正社員でなければならない、男性でなければならなといった
考えではなく、人材の確保、活躍の場をもっと柔軟に考えてみては如何でしょ
うか?
☆人事制度も改革が必要
働き方改革に密接に関係してくるのが、人事評価システムです。まずは経営方
針に合った人事処遇制度が必要になります。社員、管理者、経営者にとってど
のような位置づけにあるのか、人事評価、賃金、教育、昇進昇格に至るまで、
それぞれの立場で何のためかを明確にしなければなりません。
また、人材を人財に変えていくシナリオも考えて下さい。これにはステップア
ップがわかる基準もつくらなければなりません。人財力が上がると企業の差別
化につながってきます。一般的には「見習い職層」、「自立職層」、「指導職
層」に分けられ、見習い職層では業務の流れの把握、基本的な対処、提携業務
ができるなどのステップで評価していきます。自立職層では、定形外業務の指
導、全般的に一人でできる、リーダ的役割などができるようなステップとなり
ます。そして指導職層では、部下育成、仕組みづくり、戦略的事業開発などが
できるようにステップを踏んでいく事になり、それぞれの評価をシステム化し
て給与にも反映させていく事になります。
これらは約束でもあり、この約束を守る社員が育つことが成長する企業の組織
ということができます。その中には、当然トップがビジョンを語ることも必須
です。最初は会社主導の約束ですが、これが社員主導の約束へいくことが発展
の秘訣でもあります。
☆健康経営にも注目!
働きやすい環境、人事評価などを通じて、社員の流出を防ぐとともに新たな採
用においても「働き方改革」は重要となってきます。このような中、社員の健
康にも配慮していく「健康経営」が注目されてきております。健康経営とは、
「従業員の健康保持・増進の取組が、将来的に収益性等を高める投資であると
の考えの下、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践すること」です。
健康経営に取り組む優良な法人を「見える化」することで、従業員や求職者、
関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略
的に取り組んでいる法人」として社会的に評価を受けることができる環境を整
備することを目標に、「健康経営優良法人認定制度」がおこなわれています。
今後はこのような認定を受けないと社員が集まらないといったことが起こりえ
ますので、注目しておいてください。
働き方改革といってもいろいろな分野が関係してきます。しかし社内をいくら
整備しても「働き甲斐」「やりがい」がなければ社員も去っていくでしょう。
人が活性化することが大切です。試行錯誤しながら考えてみてください。
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