今年の重要な経営課題の一つに「働き方改革」をあげておられる方も多いと思います。
今年4月1日から働き方改革関連法が順次施行されます。
労働生産人口の減少が続く中で対策が必要なテーマであることは言うまでもなく、取り組む企業が増えてきました。
長時間労働や休日出勤などの労働時間の短縮に目が向きがちですが、単なる時間短縮という風潮に違和感を感じている経営者も多いと思います。
残業や労働時間を強制的に抑制することが「働き方改革」の本質ではありません。
本質的な「働き方改革」は業務改革であり、生産性と仕事の質を向上させ強い企業になることが第一です。
そのために成すべきことは何か、を考える必要があります。
〇日常行っている業務内容を把握する
まず取り組むべきことは、現状を知ることです。
今までの業務の中にはミス・ロス・ムダが含まれているはずです。
業務のやり方には、各社独自のルールがあり、それは会社がしっかりと決めている場合もありますが、個人任せになってしまっていることもよくあります。
会社内で何が決まっているか、それらのやり方は効率よく成果の出せるやり方なのかを見極めるために、現状行っていることの洗い出しが優先事項となります。
営業であれば顧客発見から集客、初回面談から契約に至るまで、設計であれば敷地環境調査のやり方、ヒアリングからプレゼン、図面作成など、工事であれば工程管理、品質管理やお客様立会いなど、担当者のさじ加減次第になっていないでしょうか?
日常に行っているこれらの業務内容をすべてを洗い出し、それらの仕事をつないでいくと、それが業務フローとなります。
これにより、どこに問題があるかを把握でき、全体の流れと各職種ごとに何をするかを整理することができるようになります。
〇標準化・システム化を目指す
結果は過程の積み重ねにあります。
業務を洗い出した中で出てきた問題に対処しシンプルにしていくとともに、業務フローに定められた手順を「見える化」し、それらが実行されているかどうかを確認するためにプロセス管理手法を見直していくことになります。
これにより、誰もがどこで何をするのかが明確となり、各職の連携の改善がもたらされます。
最近は特にITの進歩により、わたしたちを取り巻く仕事環境は劇的に変化しています。色々なシステム・サービスが生まれ、バージョンアップが積極的に行われ、実務に即した内容に進化してきました。
情報管理から、社内外コミュニケーションの方法、更には業務プロセス管理全般に対し、ITは無くてはならないものとなりました。
最近では、さらにRPA(ROBOTIC PROCESS AUTOMATION)が注目されているように、今では業務の一部を自動化することができるようになりつつあります。
特に同じ仕事や処理を連続して行う場合には、人間より機械の方が向いている場合も多く、作業効率を高め、ミスもなくすことにもつながります。
住宅会社でも採用事例が増えており、人材不足を補い余りあるツール・サービスが次々と誕生しています。これらの情報技術の進歩は本当に早いものです。
詳しい人が社内にいなくとも、アンテナを張り、第三者から情報を集められる体制をとっておかねばなりません。
〇意識改革
「働き方改革」の真の目的であり、行わなければならない最も大事なことは、社員の意識改革です。
社長がいかに改革実現する意思を明確にしていたとしても、実行するのは社員です。
大きな企業では、専任部門・専任担当者を構え、プロジェクトとして推進することも可能ですが、少人数の企業ではそういうわけにいきません。
働き方改革を行う意味である「より良い会社になるため」「みなが働きやすくなる」というプラスの変化をもたらすために行うことを周知させ、社員の自発的・積極的な協力が必要となることは言うまでもありません。
繰り返しおこなう単純な仕事は、いずれ機械が処理してくれるようになります。
社員の意識が高まり、創造的な仕事、会社の発展に貢献する仕事を積極的に行っていけるような環境をつくることが、まさに「働き方改革」の神髄と言えるでしょう。
少子高齢化、人材不足はピンチではありません。
その分仕事のやり方を進化させ、生産性を向上させればよいのです。
そのためにも、「働き方改革」の流れをとらえ、自社の業務改善に積極的に取り組んでいただきたいと思います。
(文責:住宅産業塾事務局長 長井智史)
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