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完成した図面と完全な仕様書による事前発注

①    重要な完成設計図書による引継ぎ

設計部門で絶対やらなければならないのが完成した図面と完全な仕様書(設計図書)の作成です。

そしてそれを着工前に確実に工事部門に引継ぎをし、事前発注ができるようにしなければなりません。

 

ところが日本中の工務店・ビルダーではほとんどこれができていないといえます。

図面が不完全、仕様が未確定で、どうして良い工事ができるのか不思議なことです。

施工計画が組めないし、当然工程計画も組めず、原価計画も組めない。

そのため現場の行き違いが発生し,現場監督はてんてこ舞いになります。

資材の手配が遅れたり、現場の大工・職人には怒鳴られたり、至急のため資材運搬係みたいにデリバリーをさせられます。

現場監督が現場監督でなくなる可哀想な現象を招きます。

このため工程管理も原価管理もできず、さらに悪いことであるが品質管理もできなくなります。

 

現場監督や大工・職人の仕事がスムーズにできなくしているのは、

すべてこの完成した図面と完全な仕様書が着工前にできていないことによるものであることを強く認識する必要があります。

そして現場監督の権威を落としているのも、すべてここにあることを理解してほしいものです。

 

②   CSも生産性も利益も低下する

現場の生産性を落としているのも、この図面と仕様書ができていないことに起因していることを認識する必要があります。

現場で現場監督と大工・職人が打合せをしている光景をよく見かけますが、

これは一見すると、よく打合せをしており良いことだと錯覚しますが、とんでもないことであるといえます。

職人・大工の仕事の実働時間を奪い、監督がやらなくてもよい作業をしているため夜遅くまで勤務したり、

現場監督の人数が多く必要になる愚かな行為であることに気づかなければなりません。

完成した図面と完全な仕様書があれば無駄な打合せの時間が少なくなるのに残念です。

 

また、このことにより原価率が高くなり、利益率も低くなります。

完成した図面と完全な仕様書ができないことにより事前発注もできない。

これにより発注原価が確定しないし、竣工引渡し後の実績原価も甚だしく差異(違算)が出ます。

 

この完成設計図書ができない理由は経営幹部の認識不足、設計部門の認識不足と力量不足、

人数の絶対的不足が大きな原因であるといえます。

忙しいからやむをえない、一生懸命しているのだから仕方がないという言い訳があります。

それと住宅業界の悪弊とも言うべき「こんなもんだ」という認識レベルの低さなどにもよります。

工事監督も現実として完成した図面と完全な仕様書がないことを仕方がないことだと思って仕事をしているし、

現場ではそんな悪条件でもやりこなすことが現場監督の使命だと思っていることがあります。

素晴らしいことですが、これではお客様満足の家はできないし、生産性も向上しません。

 

 

完成図書による引継ぎが期限内にできれば経営が大幅に変わります。

生産性も利益もCSも高くなります。また監督の労働時間の大幅短縮ができ働き方改革にもつながります。